Vol.42,No.11 (2014)
- 表題:
- 食品産業における硬質表面洗浄の理論と実際
[10]次亜塩素酸ナトリウムによる局部腐食と劣化
- 著者:
- 福﨑智司(三重大学大学院生物資源学研究科)
- 掲載:
- 日本防菌防黴学会誌,Vol.42,No.11,pp.597−603(2014)
洗浄剤に含まれる化学成分は,汚れに対して強い溶解力や界面活性力を持ち,界面においては吸着置換作用を起こし,離脱汚れの再付着を防止する働きをする。また,溶解力では除去できない難洗浄性汚れに対しては,酸化分解力を示す薬剤が洗浄剤に配合される。次亜塩素酸ナトリウムは,強固な汚れが付着した食品機械装置の洗浄に汎用されている酸化剤である。次亜塩素酸ナトリウムの酸化力は,当然のことながら,汚ればかりでなく被洗浄体の材質にも影響を及ぼすことになる。次亜塩素酸ナトリウムによるステンレス鋼の局部腐食やシール剤の劣化は,その典型的な事例の一つである。第10回目は,金属の腐食機構とステンレス鋼の耐食性について述べた後,種々のpHに調整した次亜塩素酸水溶液(HOCl/OCl−)によるステンレス鋼の局部腐食とEPDMの劣化機構について解説する。
- Key words:
- Local corrosion of stainless steel(ステンレス鋼の局部腐食)/Deterioration of elastomeric gasket(ゴム製ガスケットの劣化)/Sodium hypochlorite(次亜塩素酸ナトリウム)/Permeation of undissociated hypochlorous acid(非解離次亜塩素酸の浸透)/Cleaning power of hypochlorite ion(次亜塩素酸イオンの洗浄力).