青果物/カット青果物は生命体であるため,組織・細胞を死滅させないように,非加熱・非凍結・非高圧を原則とした微生物制御を施さなければならない。しかしながら,青果物/カット青果物から食中毒原因菌あるいは芽胞形成菌を完全に除去するためには,加熱や高圧などの物理的な殺菌手段を利用しなければ不可能である。本稿では,最初に海外でのカット青果物への放射線照射の報告例を紹介し,続いて日本でも実現が可能な物理的殺菌として,筆者らが報告した熱処理(熱水,過熱水蒸気)および高圧力処理を対象に,各処理に適した青果物の選択とその品質を損ねないための技術について解説する。これらの中では,キュウリ,ニンジンへの熱水処理(100℃・1秒間)や過熱水蒸気処理(110-120℃・1秒間)あるいはカットパイナップルへの高圧力処理(400MPa・5分間)が今後の実用化に向けて期待される。