薬剤耐性(Antimicrobial resistance:AMR)は,近年の世界保健総会や各国の首相が集うサミットなどでも取り上げられており,21世紀におけるグローバルヘルスの重要課題である。こうした流れの中,2012年から5年間,大阪大学が研究代表を務める研究チームが,ベトナムの研究チームと共に薬剤耐性菌の科学技術協力プロジェクトを実施した。日越から13機関が参加した実施体制の下,プロジェクトチームがとったアプローチや,地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(Science and Technology Research Partnership for Sustainable Development:SATREPS)のプロジェクト活動の実際について触れる。また,JSTやAMEDと共に本プログラムを実施したJICAは,政府開発援助(ODA)の視点からどのように日越共同の科学技術協力の運営を促進したのか,研究分野で「科学」と「社会開発」の融合はどのように可能か等,解説する。