紫外線LED(280 nm)を使用し,徳島県産釜揚げしらすおよびその分離菌への殺菌効果を検討した。釜揚げしらすのパッケージ品を対象とし,一般細菌,ブドウ球菌属,大腸菌群,サルモネラ属菌,ビブリオ属菌の各選択培地上に生育する細菌の生菌数を決定した。標準寒天培地上で生育した50株および卵黄加マンニット食塩培地で生育した10株について16S rDNAの部分塩基配列を用いた系統解析を行った結果,Psychrobacter sp.,Kocuria rhizophila,Staphylococcus sciuri,Macrococcus caseolyticusと近縁な分類群の細菌が優占していた。上記4菌種と近縁な分類群からそれぞれ1株ずつ選択した菌株に対しUVの照射を行った結果,全ての菌株で3秒間の照射処理により99%以上の殺菌が可能であることが明らかとなった。また,釜揚げしらすに直接UVを60秒間以上照射した結果,無照射試料の保有一般細菌数と比較して,有意に生菌数が減少した。さらに,48時間冷蔵保存後においても,保有細菌の増殖を抑制することが判明した。