日本防菌防黴学会

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ご挨拶

会長就任のご挨拶

世界保健機関によって新型コロナウイルス感染症COVID-19のパンデミックが宣言されてから,3年余りが経ちました。この間,ワクチンの開発と普及,検査・医療体制の確立,原因ウイルスSARS-Cov-2の変異などによって,当初の脅威が次第に減弱し,ついに5月には感染症法の位置付けが,インフルエンザと同じ5類感染症に変更となりました。これに伴って,感染防止対策も法律に基づいて行政が積極的に関与する仕組みから,個人の自主的な取組を尊重する仕組みへと変更され,再び社会生活が大きく変化する時を迎えています。この時期に感染予防や感染対策など,健康な社会生活を実現するための活動を目的としています本学会の会長を務めることとなりました。これからの2年間,本学会の発展に尽力する所存です。何卒,よろしくお願いいたします。

さて,防菌防黴すなわち微生物制御に関する諸課題を広く共有し,その対応策を基礎から応用・社会実装に至るまで網羅的に検討するための研究会として,1973年に「防菌防黴研究会」が設立されました。そして,その2年後には現在の「日本防菌防黴学会」の名称となりました。したがいまして,2023年は創立50年,つまり知命の時となります。そこで,この節目の年を記念しまして,一連の創立50周年記念事業が行われます。会員のみなさまには,ぜひとも,本学会の歴史,使命や存在意義を改めてご理解いただきたく存じます。さらには,将来の方向性を展望し,本学会の今後の発展・飛躍に向け,一層のご協力を賜りますようお願いいたします。

この数年間のSARS-Cov-2あるいはCOVID-19関連の研究に代表されるように,研究者の重要な使命は,時代の変化や社会環境の違いに柔軟に対応し,その時代や社会においてカギとなる課題に関する研究を実施することです。しかしながら,その一方では,変えることなく長く継続して実施するべき研究もあります。蕉風俳諧の理念の1つとして「不易流行」が知られていますが,研究者にとっても不易(いつまでも変わらないこと)と流行(その時々に合わせて変えていくこと)は,基本とするべき考え方だと思います。本学会の会員は多士済々であり,しかも医療・医薬から食品・日用品,環境,防災(バイオハザード)に至るまで幅広い学問領域に及んでいます。これからも,会員の一人ひとりが「不易流行」を念頭におきながら,専門とする領域で特異な研究を遂行し,その成果を社会に発信し続けて行くことが,結果として,本学会の国際的なプレゼンスをさらに高めるものと考えます。防菌防黴に関する重要課題は,それぞれの国や地域によって異なっています。今年から本学会の英文誌は,Journal of Microorganism Controlに名称が変わりました。この学術雑誌を拡充することによって,防菌防黴の領域における本学会の貢献がボーダーレスになると考えます。50年間にわたり諸先輩が築き上げてきました本学会の伝統を継承しながら,活気ある魅力的な学会へと発展させるため,引き続き,会員のみなさまのご支援とご協力を心よりお願いいたします。

日本防菌防黴学会 会長 三好 伸一(岡山大学)