日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.41,No.1 (2013)

表題:
細菌の環境認識と適応[6]
細菌走化性受容体の多刺激認識能
著者:
西山宗一郎,川岸郁朗(法政大学生命科学部),田島寛隆(名古屋大学大学院工学研究科)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.41,No.1,pp.35-43(2013)

細菌の走化性を担う受容体は,複数の化学物質に加え温度やpHも検知する多機能なセンサーである。大腸菌アミノ酸走性受容体のリガンド認識は厳密である。当研究室ではうち1つのセンサードメインの構造を解明し,既存のものと比較した。結果,リガンドに直接結合する残基の配置を決定する周辺配列が重要なことをつきとめた。一方,コレラ菌アミノ酸走性受容体は多様なアミノ酸を受容する。構造は大腸菌とは全く異なり2つの潜在ポケットを持つが,膜から遠い側のポケットが柔軟に対応し,複数のアミノ酸受容に関与することが明らかになった。多数の走化性受容体の配列解析から,センサードメインの多様性が非常に高く,種々の刺激の認識のために分岐したと示唆された。

Key words:
Two-component regulatory system(二成分制御系)/Chemotaxis(走化性)/Escherichia coli(大腸菌)/Vibrio cholerae(コレラ菌)/Ligand recognition(リガンド認識)/PAS-like domain(PAS様ドメイン).