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日本防菌防黴学会誌

Vol.41,No.2 (2013)

表題:
食品による寄生動物感染症[6] 蠕虫感染症(1) 横川吸虫・肝吸虫
著者:
森嶋康之(国立感染症研究所寄生動物部)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.41,No.2,pp.85-91(2013)

日本人の強い生食嗜好とそれに起因する各種寄生虫の感染は従来から指摘されてきたことで,我々は生食を日本人特有のものと思いがちである。しかし,こと吸虫感染に焦点を絞ってみても,食品媒介吸虫症の発生分布はヒトの食習慣によって規定されるといわれ,それにしたがえば,現実に世界各地に存在する吸虫症の流行地は,そこで生食やそれに類する食習慣が保持されていることに他ならない。本稿では,そのような食習慣と感染が結びついた吸虫として,多くの地域で人体の感染症として認識され,いくつかの地域では公衆衛生上の大きな問題ともなっている横川吸虫と肝吸虫を採りあげ,その近縁種も含めながら,1)寄生虫,2)生活環,3)疫学・流行状況,4)症状・病原性,5)検査・診断,6)治療,7)予防の7項目について概説をおこなった。

Key words:
Metagonimus(横川吸虫)/Clonorchis(肝吸虫)/Food borne trematode infection(食品媒介吸虫症).