日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.41,No.5 (2013)

表題:
細菌の分類と同定[7] 質量分析計による新しい同定法
著者:
曽川一幸(千葉大学医学部附属病院疾患プロテオミクス研究センター),渡邊正治(千葉大学医学部附属病院検査部)野村文夫(千葉大学大学院医学研究院分子病態解析学)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.41,No.5,pp.269-273(2013)

近年,高い迅速性と正確性を有し,しかも低コストの細菌同定手法として,質量分析計が注目されている。2010年から欧州諸国を中心に,600ヶ所以上の病院・検査センターの細菌検査室で細菌同定のツールとして運用されている。
従来細菌の同定には,主に形態学的手法(グラム染色,コロニーの形状やその大きさ)や生化学的手法が用いられている。しかしながらいずれの手法も煩雑な作業であり高い専門性が要求される。高い識別能力がある16S rRNAを指標とする手法は,多くの検体を一度に解析することが難しく,日常的に用いることは困難でありコストがかかる。質量分析計による細菌同定はサンプル調整が容易で,測定操作も簡便であり,一菌種約6分で同定結果が得られる。この特徴を活かして,煩雑な試料前処理を行わず,属や種を容易に識別することのできる手法として注目されている。

Key words:
Bacteria identification(細菌同定)/Mass spectrometry(質量分析)/MALDI BioTyperTM.