犬回虫および猫回虫は,それぞれイヌおよびネコを主な終宿主とする線虫で,日本でも比較的普通にみられる。ヒトに感染すると,幼虫が諸臓器・組織を移行してトキソカラ症を惹き起こすことから,人獣共通感染症の原因虫の一つとして重要視されている。本稿では,犬回虫と猫回虫の形態・生活環およびヒトのトキソカラ症の病型と感染経路について述べる。また,これらの回虫の生活環における家禽・家畜の待機宿主としての役割について考察し,食肉を介して幼虫がヒトへ感染するリスクについて考える。
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