日本の透析施設では,多人数用透析液供給システムが採用されているが,透析液の供給を効率的に行える反面,配管構造が複雑なため汚染原因となる箇所が多い。現在の透析配管の洗浄は,透析液排液による細菌繁殖(バイオフィルム)と配管内析出物質の除去を目的とし行われており,透析液や排液を回収する配管は細菌繁殖の危険性が高く,洗浄消毒剤による薬液消毒が必要である。またバイオフィルム形成回避および剥離を目的とした研究は日本では乏しく,バイオフィルムは配管のみならず装置内にも形成されている。透析液清浄化において透析液水質管理が重要視されているが,透析液水質管理のみならず透析配管管理も必須である。ここでは透析液清浄化対策として,血液浄化療法における透析配管バイオフィルムの実際と洗浄消毒剤による剥離効果について概説する。