各透析施設で製造される人工透析用透析液は,UF膜であるエンドトキシン捕捉フィルタETRFによる膜ろ過を多段化して微生物学的清浄度を維持している。UF膜を通過した後の用手作業を無菌操作化できれば,生菌数計測や無菌試験法は陰性となった。さらにこのUF膜の最上流で認められる細菌汚染も,手作業で行われる日常生産工程や保全管理の清潔操作化と毎日の消毒により新たな汚染は発生しなくなった。しかし,7菌種と多様性があり生菌数も一定値以下にならない。経年的に菌叢は変わらず,年単位で菌株も同一のものが観察された。これらはバイオフィルムが形成されていることを物語っている。この状態を打開するために,従来透析業界にある視点とは異なる新たなアプローチが嘱望される。