人工透析治療は,人工腎臓を介して血液と透析液を接触させ,血液中の不純物を除去し,血中に不足している物質を透析液側より補充する治療である。1回の治療に用いられる透析液は約120Lにも及び,透析液中に生理活性物質などの不純物が含まれていると,生体に炎症反応を引き起こし,各種透析関連合併症を誘発することが知られている。
透析液製造工程中に微生物が存在していた際に形成される可能性のあるバイオフィルムは恒常的な生物学的汚染の発生源となり,その除去は困難を極める。
本稿では人工透析治療における透析液供給配管内に形成されるBFの問題と対策について、その現状を概説する。