現在,医療機器の電子線滅菌は一般的に行われている。ところが,医薬品に関しては滅菌による成分の劣化の理由から実施例は少ない。最近になって,医薬品の殺菌剤の微生物汚染が報告され,医療機関から殺菌剤の滅菌の要求が出ている。グルコン酸クロルヘキシジン/エタノール製剤は一般的に病院で使用されているが,滅菌処理により20%以上の有効成分量の低下が起き,滅菌することが困難であった。本研究で,数種類の医薬品添加物を添加することで,添加剤が水由来のラジカルをスカベンジし,ラジカルによる有効成分の分解を防止できることが明らかになった。そのことから,グルコン酸クロルヘキシジン/エタノール製剤の電子線滅菌が可能であることがわかった。