Vol.41，No.9 (2013)

表題：

保育所厨房環境の細菌学的評価（原著論文）

著者：

吉田和子（つくば国際大学），山口真波，上田成子（女子栄養大学衛生学教室）

掲載：

日本防菌防黴学会誌，Vol.41，No.9，pp.475－481（2013）

茨城県内の４保育所の厨房を対象として冬季の１月と夏季の８月に，空中浮遊細菌数ならびに設備・器具類等の表面細菌数を測定するとともに，それらの構成菌叢を検討した。さらに，各厨房内で調製された食事内容およびそれらの生食材について衛生細菌学的検討を行った。それらの結果を要約すると以下のようであった。 １）浮遊菌数は，施設間に若干の差はあったが，一部施設を除き夏季と冬季の平均菌数は概ね120～280 CFU/m３であり，一定の季節的傾向はみられなかった。また，表面菌数も施設間に若干の差はあったが，概ね５～21 CFU/９cm２の範囲にあり，季節的傾向はみられなかった。 ２）１施設の夏季給食の主食と主菜で10５ CFU/gの一般細菌数が認められたことを除き，各施設の主食，主菜，副菜等の平均一般細菌数は，10１～10２ CFU/gの間にあったが，給食用食事試料からは腸管病原菌は検出されず，細菌学的には概ね良好なものと考えられた。

Key words：

Nursery kitchen（保育所厨房）/Airborne bacteria（空中細菌）/Bacteria on surfaces（表面汚染細菌）/Staphylococcus/Bacillus．