代表的な難分解性有機物を取り上げ,オゾン処理単独ならびに促進酸化処理(AOP)による分解除去効果,反応生成物,反応経路などに関する事例を紹介した。 難分解性有機物とは,自然界の微生物によって分解され難く環境中に長期間残留するような有機物の総称であり,オゾンはこれらと直接および間接的に反応する。直接反応ではオゾン処理単独での事例に加えて,オゾンと難分解性有機物との反応により生物分解性が向上する機能を応用し,オゾン処理後にさらに生物処理を行う事例も報告されており,その際,生物処理に対してどの時点・位置でオゾン処理を行うのかが重要になってくる。間接反応であるAOPでは,オゾンが酸化剤として直接利用されるのではなく,それらの分解過程で生成されるヒドロキシラジカル(HO・)を始めとする活性ラジカル種が利用される。一般にAOPではオゾン処理単独と比較して分解が促進されるが,特性を踏まえて,対象となる物質ごとに最適な手法を選択することが重要となる。