世界の多くの国々では,日本ほど都市インフラや衛生環境,医療サービスが充実していない。そしてこれは,これらの地域で感染症が蔓延する大きな要因になっている。そのため,感染症からの防御を目指す上では,これらの国々の衛生環境や問題点を知る事が重要である。岡山大学ではインドの東部に位置するコルカタ市に感染症研究拠点(岡山大学インド感染症共同研究センター)を設置している。そこで,本稿ではコルカタ市における感染症の発生状況や,都市インフラ,衛生環境の現状について紹介する。日本とは異なる,発展途上国の社会的,経済的な事情により,多くの人々が医学的には防御可能な感染症に罹患している現状について記述した。