高い電流密度で通電した場合,高い殺菌・エンドトキシン(以下ET)不活化効果が得られる傾向にあった。これは水解離現象の発生規模が拡大することに起因すると考えられる。一方,一定以上の電流密度では殺菌・ET不活化効果に差が無くなった。よって,水解離現象を一定以上の規模で発生させることが良好な殺菌・ET不活化効果に必要であり,また,それ以上に電流密度を上げても,殺菌・ET不活化効果が増大することはなく,最適電流密度条件が存在することが明らかになった。以上のことから,EDI法の高い除菌・殺菌効果およびET除去・不活化効果のメカニズムは,水解離現象が主体的なメカニズムであることが示唆された。しかしながら,どの程度の水解離現象を起こせば,確実に良好な殺菌・ET不活化効果が得られるかという指標(インジケーター)がなく,経験的に得られた高電流密度条件で運転するしかなかった。本研究により,電流/イオン負荷比が水解離現象の発生規模を示す指標となりえることが明らかになった。