アワビは水産資源のなかでもとりわけ価値が高く,日本国内において種苗生産が盛んにおこなわれている。しかしながら,その成長率は低く,また,細菌性の日和見感染などが多く報告されており,耐病性においても課題が残されている。
著者は,近年身近になってきたプロバイオティクスを用いて,アワビの消化管内細菌相を「バイオコントロール」することにより,種苗生産時の諸問題を解決する手法を開発している。
本稿では,著者がこれまでに行ってきたアワビ消化管内細菌群の詳細な解析と乳酸菌投与によるアワビへのプロバイオティクス効果について報告すると同時に,添加したプロバイオティクスの宿主消化管内での動態や,メタボローム解析を使った新しい視点からのプロバイオティクス効果について解説する。