ポリエチレンテレフタレート(PET)板に収着したオレンジジュース由来のリモネンの除去における次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)水溶液のpHの影響を検討した。リモネンの除去および分解におけるNaOClの効果は,非解離型次亜塩素酸(HOCl)の濃度に依存することが示唆された。また,PETへのClの浸透もHOCl濃度に依存しており,収着したHOClは酸化力を保持していることがわかった。1.5ℓの実用PETボトルと試薬d-リモネンを用いたキャリーオーバー試験においても,pH5に調整したNaOCl水溶液を用いることによってリモネンはほぼ完全に除去された。以上の結果から,HOClはPETの表面近傍に浸透してリモネンを酸化分解することにより,収着リモネンの除去に寄与することが示された。