日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.42,No.2 (2014)

表題:
食品産業における硬質表面洗浄の理論と実際 [1] 洗浄の基本的な考え方
著者:
福﨑智司(三重大学大学院・生物資源学研究科)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.42,No.2,pp.79-84(2014)

食品産業において,製造設備や機器の洗浄の重要性は古くから認識されているものの,その条件設定や実効性に関する科学的根拠は必ずしも明確でない場合もある。特に,わが国では大学教育ならびに製造現場において,洗浄技術を学問として基礎的に学習する機会が欧米と比較して著しく少ないのが現状である。本解説では,日常的に洗浄が行われる被洗浄体を対象として,洗浄の基本的な考え方に始まり,界面化学および物理化学の視点からの考察,物理的・化学的洗浄力要素の作用機序と有効性,洗浄システムと洗浄性の定量的評価,次亜塩素酸の洗浄力と機器部材の腐食と劣化についてシリーズで解説し,洗浄に関する基礎知識を整理する。第1回目は,洗浄の基本的な考え方として,洗浄の目的,洗浄系の4要素,固液界面における洗浄剤の働き,洗浄におけるエネルギーと化学平衡を解説する。

Key words:
Definition of cleaning(洗浄の定義)/ Hard surface(硬質表面)/ Adsorption and desorption of soils(汚れの吸・脱着)/ Physics and chemistry of cleaning (洗浄の物理と化学)/ Free energy change (自由エネルギー変化).