殺菌剤処理を受けた好熱性好酸性菌芽胞の耐熱性に関する知見を得るため, 次亜塩素酸ナトリウムで処理した Alicyclobacillus acidoterrestris 芽胞の耐熱性を調べた。pH 4~6 に調整した 50 mg/L 次亜塩素酸ナトリウムで 25℃, 15 分間処理した芽胞は, pH 8~12 に調整した 50 mg/L 次亜塩素酸ナトリウムで処理した場合と比較して 90℃, 30 分間の加熱により生残芽胞数が著しく減少した。また, pH 6 に調整した 25~100 mg/L 次亜塩素酸ナトリウムで25℃, 15 分間処理した芽胞の耐熱性(D90)は, 次亜塩素酸ナトリウムの濃度依存的に低下した。次亜塩素酸ナトリウム非処理芽胞の耐熱性は, 加熱媒体の pH の影響を受けなかったが, pH 6 に調整した 50 mg/L 次亜塩素酸ナトリウム処理芽胞の耐熱性は, 加熱媒体の pH 感受性を示し, 低 pH ほど生残芽胞数が減少した。これらの結果から, pH 4~6 に調整した次亜塩素酸ナトリウム処理を受けた A. acidoterrestris 芽胞は, 耐熱性が低下することが明らかとなった。