手洗いは病原菌汚染を避けるために重要であり,食品衛生の基本である。本研究では食品製造作業従事者の手洗い前での声かけ(検査対象者へ手洗い前に「手洗い後に拭き取り検査実施のため手をきちんと洗って下さい」と声をかけ,ATP法による拭き取り検査を事前周知すること)有無によるATP拭き取り検査結果の違いを調査した。声かけ有無に関わらず,手洗い前のRLU値に有意差は認められなかった(P=0.4040)。各手洗い前後を比較したところ,手洗い後のRLU値で有意な減少が認められた(P=0.0003,P<0.0001)。とりわけ,声かけ有りの手洗い後の結果は声かけ無しの手洗い後の結果よりもRLU値の減少傾向が見られ(P=0.0657),さらにRLU値のバラつきは他の結果よりも小さくなった。本結果から,作業従事者の手洗い効果は意識が大きく関与しており,手洗い意識を保つことが重要であることがわかった。