日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.42,No.4 (2014)

表題:
感染症の現状と展望[7] 口腔感染症
著者:
江口 徹(サンスター(株)静岡研究所)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.42,No.4,pp.213-218(2014)

口腔感染症は齲蝕と歯周病が2大感染症として知られ,それぞれが特定の細菌による感染症として認識されている。齲蝕はストレプトコッカス属の細菌が歯面に付着し,そこに酸が産生されると,歯牙表面の脱灰が生じ症状が進行する。歯周病は歯面に付着したデンタルプラークにより歯周組織に炎症が生じ,歯周組織の破壊が起こる。歯周病の原因菌は偏性嫌気性菌が主体となる混合感染で,健常者では見られない運動性桿菌やスピロヘータが検出される。歯周炎に罹患した成人に起こる根面齲蝕は歯周炎と齲蝕の両方が関係した症状であるが,高齢化に伴い今後の問題となってきている。また,口腔内細菌が全身症状につながる報告が増えてきており,糖尿病,誤嚥性肺炎や菌血症による心疾患などと関連していることが報告されている。今後は局所感染のみでなく,全身症状との関連性も重視する必要がある。

Key words:
Dental Caries(齲蝕:うしょく)/Periodontitis(歯周病)/Oral Bacteria(口腔細菌),Bacteremia(菌血症).