浴室の真菌汚染は代表的な住環境の微生物汚染の一つであるが,浴室天井の真菌汚染についての詳細な調査例はほとんどない。そこで,25家庭を対象に浴室天井の真菌汚染について検討した結果,肉眼観察では真菌検出率が36%(9家庭)であったのに対し,顕微鏡観察による真菌の検出率は84%(21家庭)であった。それら真菌の81%(17家庭)において胞子形成が観察され,それらの中には発芽による胞子形成,菌糸から形成された厚膜胞子,時間の経過と共に変形した胞子の塊が観察された。天井汚染真菌の種類は,Cladosporiumの検出率が最も高く,次いでPhomaの検出率が高かった。Cladosporiumが検出された箇所周辺の生菌数(真菌数)は天井100cm2当たり,103CFU以上が93%,105CFU以上が72%と極めて高かった。