日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.42,No.7 (2014)

表題:
食品産業における硬質表面洗浄の理論と実際 [6] 洗浄のシステムと定量的評価
著者:
福﨑智司(三重大学大学院生物資源学研究科)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.42,No.7,pp.353-359(2014)

食品工場における汚れの組成は,基本的には食品の成分に依存する。食品の種類や加工方法が多様化すれば,自ずと汚れの組成や性状も多種多様となる。実際の洗浄操作では,被洗浄体や汚れの種類に応じて複数の洗浄力要素を組み合わせる形で実施されている。洗浄システムとは,つまるところ洗浄力要素の組み合わせを意味しており,いかに有効な組み合わせを構築するかが,洗浄の本質的な課題である。選定された洗浄方法の有効性は,被洗浄体表面の清浄度ならびに汚れの除去に要した水,洗剤,エネルギーやコストで判断されることになる。そして,もう一つ重要な因子として時間がある。汚れの除去に必要な最小の洗浄時間を推定するには,洗浄過程を平衡論および速度論の側面から数学的に取り扱うことが必要である。しかし,実際には過去の経験と実績に基づいて決定されている現場も少なくない。第6回目は,水を媒体とする湿式洗浄システムの基本的な構成と洗浄効率の工学的な定量的評価法について解説する。

Key words:
Cleaning system(洗浄システム)/ Quantitative assessment(定量的評価)/ Equilibrium and kinetics of cleaning(洗浄の平衡論と速度論)/ Alkali cleaning(アルカリ洗浄)/ Surface-active agent(界面活性剤).