日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.42,No.9 (2014)

表題:
食品産業における硬質表面洗浄の理論と実際 [8] 次亜塩素酸ナトリウムの洗浄力(その1)
著者:
福﨑智司(三重大学大学院生物資源学研究科)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.42,No.9,pp.475-481(2014)

次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)は,広い殺菌スペクトルと速効性をもつ殺菌剤であることから,食品産業をはじめ医療,介護施設において長年汎用されてきた。次亜塩素酸ナトリウムは,理想的な殺菌剤としての要件を数多く満たすことに加えて,強力な洗浄作用を持つこと,そして設備や機器に対しては,有効範囲内で制限なく使用することができることが特長である。次亜塩素酸ナトリウムの希薄水溶液における主たる殺菌因子は非解離型次亜塩素酸(HOCl)である。一方,硬質表面上の有機物汚れに対する次亜塩素酸水溶液(pH<10)の洗浄作用は,解離型の次亜塩素酸イオン(OCl-)の濃度に強く依存する。第8回目は,市販の次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸の化学的特性を述べた後に,次亜塩素酸イオンの洗浄作用を平衡論と速度論の観点から解説する。

Key words:
Hypochlorite ion(次亜塩素酸イオン)/Electrophilic agent(求電子剤)/Oxidative degradation(酸化分解)/Synergistic effect(協働効果)/Disinfecting action(殺菌作用).