Vol.42，No.11 (2014)

表題：

木材劣化の現状とその対策[5] 結露が原因で起こる家屋の腐朽

著者：

小林智紀（三和インセクティサイド（株））

掲載：

日本防菌防黴学会誌，Vol.42，No.11，pp.613−617（2014）

家屋の高気密高断熱化は住宅における結露の原因となった。特に冬期において，暖房器具や加湿器などから発生する水蒸気は，暖房を停止することによる温度低下と共に，壁面は壁体内で結露として現れ，木材や木質材料を高含水率にする。また，近年普及しているコンクリートによる土間仕上げやベタ基礎仕上げでは，コンクリートの乾燥が不十分な状態で床板をはり付けると床下が高湿度となり，逃げ場を失った水分が床下部分の木部に吸収されることで，かびの発生や腐朽の原因となる。コンクリート仕上げに限らず，土壌水分の高い地域に住宅が建築された場合でも同様な被害が発生する。また，結露に限らず，水仕舞いが悪いと漏水や浸水により床下や壁体内に水が流れ込み同様に腐朽の原因となる。床下は土台，大引き，根太など家屋を支える重要な部材で構成されており腐朽の被害から守ることが重要である。

Key words：

高気密高断熱/結露/土間コンクリート仕上げ/べた基礎仕上げ/漏水/浸水．