Kudoa septempunctataはミクソゾア門に属する粘液胞子虫の一種であり,ヒラメの筋肉に寄生する。近年,K. septempunctataが寄生するヒラメの生食を原因とする食中毒が多発している。この食中毒は潜伏期が2時間からと非常に短く,一過性の下痢や嘔吐が特徴である。K. septempunctataが寄生するヒラメを生食すると,腸管で胞子から胞子原形質が放出される。胞子原形質は腸管上皮細胞層に侵入することによって,下痢を引き起こすと考えられている。冷凍処理することによりK. septempunctataは容易に失活するが,ヒラメの商品価値が低下するため,実際には使用できない。また,冷凍以外に効果的な失活方法は開発されていない。そのため,現時点では養殖場における防除にK. septempunctata対策の重点が置かれている。今後,流通や加工段階におけるK. septempunctata失活方法が実用化されることが望まれる。