日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.42,No.11 (2014)

表題:
微生物制御に関わる基礎的な背景と最新の話題[4]
新しい寄生虫食中毒とその制御にかかわる最新の話題
著者:
大西貴弘(国立医薬品食品衛生研究所)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.42,No.11,pp.625−630(2014)

Kudoa septempunctataはミクソゾア門に属する粘液胞子虫の一種であり,ヒラメの筋肉に寄生する。近年,K. septempunctataが寄生するヒラメの生食を原因とする食中毒が多発している。この食中毒は潜伏期が2時間からと非常に短く,一過性の下痢や嘔吐が特徴である。K. septempunctataが寄生するヒラメを生食すると,腸管で胞子から胞子原形質が放出される。胞子原形質は腸管上皮細胞層に侵入することによって,下痢を引き起こすと考えられている。冷凍処理することによりK. septempunctataは容易に失活するが,ヒラメの商品価値が低下するため,実際には使用できない。また,冷凍以外に効果的な失活方法は開発されていない。そのため,現時点では養殖場における防除にK. septempunctata対策の重点が置かれている。今後,流通や加工段階におけるK. septempunctata失活方法が実用化されることが望まれる。

Key words:
クドア/寄生虫/生食.