カンジダやアスペルギルスによる侵襲性真菌症は,多くが日和見感染症として起こり患者の予後や経過を左右する。カンジダ属はヒトに常在しており,発症には患者の基礎疾患と治療における医原的要因が影響するため,全身的・局所的感染防御を維持することが発症予防につながる。カンジダによる集団感染事例は,がん病棟やICUとくに乳幼児・小児ICUで報告があり,カテーテル管理を含めた基本的感染対策が重要である。アスペルギルスは環境中に広く分布しているが,宿主の免疫能―とくに好中球数減少が最も重要な発症リスクであり,環境からの曝露も考慮する必要がある。疥癬はヒゼンダニの虫体や排泄物に対するアレルギー反応による皮膚病変と掻痒を主症状とする。高齢者施設や病院での集団発生は増加傾向にあり,疥癬に対する早期の認識―診断と治療が大切である。病型に応じた対策を行うが,角化型疥癬では接触予防策による十分な対応が求められる。