洋菓子は生クリームを使用している製品が多く,生クリームに由来する微生物により変敗現象が生じている場合が多い。生クリームの微生物菌叢はSaccharomyces, Lactobacillus, Enterococccus, Streptococcus, Leuconostoc, Micrococcus, Bacillusが主体である。変敗現象は上記微生物による酸敗現象が中心である。洋生菓子の菌数は時間の経過と共に増加するが,その要因は保存温度の影響が大きい。ショートケーキ,チョコレートケーキは製造直後では3.5×103〜6.5×103/gであるが5℃保存48時間で1.5×104〜2.7×104/g,15〜20℃保存48時間で2.8×105〜1.1×106/gとなった。 またチーズケーキは製造直後では1.2×104/gであるが5℃保存48時間で5.4×105/g,15〜20℃保存48時間で5.9×106〜5.8×107/gとなった。洋生菓子は生クリーム等を利用するため乳酸菌が多い。このためpHが低下し,酸敗する。生クリームにはEnterococcus faecalis, Streptococcus lactis, Streptococuus thermophilus, Lactobacillus thermophilus, Lactobacillus burgaricus, Leuconostoc sp.の乳酸菌やB.cereus, Pseudomonas fragi, Pseudomonas putrefaciens, Micrococcus roseus, M.luteus等の細菌が多い。ロープ現象の原因菌はB.subtilis,B.pumilus,B.macerans,B.licheniformis,B.megateriumであった。