日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.43,No.1 (2015)

表題:
木材劣化の現状とその対策[7] 木材の防かび処理の現状
著者:
小林智紀(三和インセクティサイド(株))
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.43,No.1,pp.9−13(2015)

住宅内の結露はかび発生の大きな原因のひとつである。かびの発生は木材の強度的な低下にはつながらないが,木材表面を変色させることで外観的な価値を低下させる。また,かびの発生は喘息などの原因になるだけでなく,かびを食料源とする各種不快害虫やこれらの害虫を捕食する害虫を引き寄せることになる。特に捕食害虫による刺咬の被害は重要である。過去の報告では,かびの発生がやがて腐朽菌の発生へと遷移することから,決して安易に考える訳にはいかない。かびの被害は家屋だけに限らず,材木取り扱い店や屋外での木製構築物でも重要な問題となっている。木材の防かび処理は一般に浸漬処理による。浸漬処理には浸漬時間によって瞬間,短時間および長時間処理がある防かび性能を高めるためには,処理時間が長いことが望まれるが,瞬間処理が一般的である。また,建築現場においては,防腐,防蟻剤に混合することで,塗布,吹付けにより行われている。

Key words:
防かび処理/遷移/食菌虫/不快害虫/変色菌/ベンゾチアゾール系化合物/チオシアネート系化合物/浸漬処理/表面処理.