住宅はいろいろな原因で生物劣化を受ける。新築当初は健全な住宅も,床下や水周りでは時間の経過と共に劣化を受ける。しかしながら居住者が外壁内部に使用されている木材の劣化を直接目にすることは,特に腐朽においては難しい。そこで劣化を受けた住宅を実際に解体し,その劣化の実態を調査した。調査の範囲は小屋組,軸組,床組および外構造部材とし,目視,打診,触診により実施した。その結果を,部材別,部位別にまとめ被害率で示した。対象住宅の築年数も14年から63年で,30年以上を経過したものが大半を占めた。被害部位としては浴室での発生率が最も高く85%に達した。また梁桁より上の部分で被害率が67%を示した。部材では構造上重要な土台での腐朽が81%を占めた。また柱では67%であった。住宅は築30年を超えると腐朽の発生率が高くなることが判った。