1920年末にペニシリンが発見されて以来多くの抗菌薬が開発・使用されるようになり感染症の予後は著しく改善した。しかし,同時にそれは抗菌薬耐性菌問題とのたたかいの始まりであった。抗菌薬耐性菌を制御するため,施設・地域・国等さまざまなレベルでの取り組みが行われているが,近年欧米諸国を中心に包括的に抗菌薬を管理するAntimicrobial stewardshipという概念が広がっている。どのような仕組みを取り入れるかは医療事情によって異なるが,いまある抗菌薬を温存するためには多方面からのアプローチが必要である。本稿では抗菌薬耐性菌問題に対処するための方法論と今後の課題について概説した。