食にまつわる不祥事は食品事業者にとって存続にかかわる問題であり,それを未然に防ぐ取り組みは必要不可欠である。その取り組みは製品そのものに目を向けられがちであるが,表示についても取り組みが必要である。昨今,食品表示に不正が判明したことから,商品回収につながった事例もある。一方で,食品表示は消費者への情報提供の機会となり,消費者起点の取り組みを行うことにより,消費者との信頼は高めることができる。近年,食品事業者には,事業を継続的なものとするためにも,食品を製造することだけでなく,消費者との信頼を高める活動が求められている。 本稿では,表示と情報開示について,新しい表示の制度である食品表示法や農林水産省の取り組みであるフード・コミュニケーション・プロジェクトを通じて解説する。