カビ検査法の中で抗カビ試験はカビ抵抗性試験と共に一番多く行っている試験方法である。抗カビ試験を行う微生物試験担当者は,細菌を対象とした検査で微生物の取り扱い操作を覚え,カビの検査を行うようになることが多い。その結果,細菌とカビの生物学的な違いに対する理解不足が原因で正しい結果が得られないまたはそれに気がつかないこともある。本稿では,各種抗カビ試験に共通する試験カビの前培養,胞子液作製について,初心者でもすぐに実施できるように図で示しながら詳細な説明を行った。また,正しく試験が実施できるように,各試験法の原理,手順,判定および注意点についても述べた。