建築基準法の改正によりトルエンやホルムアルデヒド等による室内濃度指針値の超過はほぼなくなった一方で,室内の真菌類の存在や真菌類などから発生するMVOC(微生物由来揮発性有機化合物)の安全性が懸念されるようになってきた。そこで,本稿では住宅などにおける室内空気中のMVOC測定方法を解説し,一般住宅を調査した結果について紹介する。MVOCの測定は,吸着管を用いたアクティブ法及びパッシブ法,SPMEやキャニスターによる捕集とGC/MS測定が主流である。一般の住宅を調査した結果,10成分から15成分のMVOCが0.1μg/L〜数μg/Lの範囲で検出され,MVOCの中でも2-methyl-1-propanol,1-butanol,2-butanone,α-terpinene,1-decanolの5成分は比較的高濃度で検出されており,一般住宅における典型的なMVOCと考えられた。