日本防菌防黴学会

学会のご案内

関連情報

  • English

日本防菌防黴学会誌

Vol.43,No.4 (2015)

表題:
木材劣化の現状とその対策[11] 拡散性を利用した木材の防腐処理
著者:
蒔田 章(大日本木材防腐(株))
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.43,No.4,pp.201−208(2015)

木材を健全な状態で長期間使用するには,適切な保存処理が必要である。木材の保存処理方法には,確実な効果の得られる加圧注入法や比較的簡易な塗布・吹付処理等の表面処理法など様々な方法があり,目的に合わせて使い分けている。これらの保存処理で使用される木材保存剤は注入処理若しくは表面処理したのち一定期間の養生をすれば木材に強硬に固着し,水濡れしても容易に溶脱することはなく,長期間効果は持続する。これ以外の保存処理方法として拡散処理方法があり,主にラワン材等に発生するヒラタキクイムシ等の予防のため行われてきたが,最近,ホウ素系木材保存剤のような非定着形木材保存剤も非接地・非暴露の使用環境での使用が認められたことを受け,拡散処理方法が再び注目されている。本稿では,ホウ素系木材保存剤を用いた拡散処理方法による木材の保存処理について,その原理と現状,拡散処理に使用される木材保存剤の防腐・防蟻性能と拡散性能,施工事例など紹介する。

Key words:
Diffusion phenomenon(拡散現象)/Diffusion treatment(拡散処理方法)/Water-boron wood preservative(水溶性木材保存剤)/Boron-based wood preservative(ホウ素系木材保存剤)/Solid type boric acid(固形タイプホウ酸)/Non-fixation type wood preservative(非定着形木材保存剤).