身近な製品のほとんどがかびによって汚染される可能性を持っている。製品によってはかびの発育が原因で素材自体が劣化するものや,見た目の不快感によって製品価値を著しく低下させるものがある。このような事態を未然に予測し,適切な対策を講じるために,日本工業規格ではJIS Z 2911:2010かび抵抗性試験を規定している。試験対象となる工業製品は,計測機器,木竹製品,ガラス製品,繊維製品,塗料,皮革及び皮革製品,プラスチック製品,電気製品・電子製品,光学部品・光学機器と多岐にわたっている。本講座では,それぞれの製品に対するかび抵抗性試験法を紹介する。また,海外のかび抵抗性試験についても日本の試験法と比較しながら説明する。