日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.43,No.5 (2015)

表題:
ドラッグデリバリーシステム[6] 細胞内・遺伝子デリバリー
著者:
二木史朗(京都大学化学研究所)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.43,No.5,pp.259−263(2015)

核酸誘導体やタンパク質などの分子認識能や生理活性を活かしたバイオ医薬品の開発が盛んに行われている。しかし,このようなバイオ高分子由来の医薬品は,一般に親水性が高く,細胞膜の透過性は低い。従って,薬効を得るために細胞内への導入が必要となる場合には,これらを効率的に細胞内に送達する技術が必要となる。また,遺伝子治療においても,遺伝子を安全かつ効率的に細胞内へ導入する手法が求められている。近年,HIV-1 Tatタンパク質由来の塩基性ペプチドや,オリゴアルギニンなどの膜透過性のペプチドを一種のベクターとして用いて,膜不透過性の薬物の細胞内移行性を改善する方法論が用いられるようになってきた。ここでは,これらの膜透過ペプチドを利用した細胞内送達に関して概説する。

Key words:
Cell-penetrating peptide(CPP)/Protein trans-duction domain(PTD)/膜透過ペプチド/ドラッグデリバリーシステム(薬物送達,DDS)/エンドサイトーシス/アルギニンペプチド.