アフラトキシンM1は,天然物最強の発がん物質であるアフラトキシンB1の代謝物で,哺乳動物の乳に多く分泌される。代謝産物であることからアフラトキシンB1に比べてやや発がん性は落ちるが維持している。そのため,食品,特に牛乳,乳製品などの重要危害物質であると考えられ,コーデックス委員会はもちろん,諸外国でアフラトキシンM1の規制が行われている。わが国でもアフラトキシンM1を対象に食品安全委員会でリスク評価が終わり,厚生労働省は規制値策定に着手している。また,農水省は牛乳中のアフラトキシンM1汚染の原因となる飼料中のアフラトキシンB1の規制を行っている。本稿では,食品安全委員会でのリスク評価書を基にアフラトキシンM1に関する知見を紹介し,厚生労働省が策定している規制への動向を解説する。