臨床医学のめざましい発展に伴い,質の高い医療を提供するためには,各職種の専門性を結集して患者診療を行う,いわゆるチーム医療が不可欠となってきた。感染制御においても,医療のあらゆる分野を対象とするほか,業務も多岐にわたるため,チームによる取り組みは必須と言える。
現在,医療施設の多くでinfection control team(ICT)と呼ばれる組織が活動している。ICTは,医師,看護師,薬剤師,臨床検査技師の4職種と事務職員,滅菌部門や栄養部門の職員などにより構成され,それぞれの専門的な知識や情報を集約・共有して,業務を行っている。また,それぞれの部署のリンクメンバーや,安全管理部門など他の院内チームとの連携も業務の円滑な遂行において重要となる。しかし,何よりも重要となるのは,医療者全体での共通理解や良好なコミュニケーション,信頼関係であり,それを構築することが,真のチーム医療体制,病院としての総合的な感染制御力の向上につながると考える。