ステンレス鋼板に付着したEscherichia coliを対象に、先端がポリエチレン(PE)製のスワブ棒を用いた拭き取りによる菌数の測定精度を検証した。拭き取られたE.coliの総菌数は,菌体内のタンパク質の定量値から概算した。PEスワブ棒先端部に吸収された菌体からのタンパク質の抽出は,0.1%SDSを含有する0.1M 水酸化ナトリウム水溶液中で15分間湯煎煮沸することにより行った。寒天平板培地でのコロニー形成数(CFU)から求めた生菌数とタンパク質抽出量の間には,良好な相関性が得られた。拭き取り操作は,PEスワブ棒に吸水させる湿潤液として0.9%食塩水を用いて,約1,100 mNの押しつけ力で20秒間行った。その結果,PEスワブ棒を用いた拭き取りにより,少なくとも0.1~4.1×108CFUの付着菌数が,96.5%の高い回収率をもって精度良く測定できていることが確認された。