結核菌は免疫細胞である肺胞マクロファージに長時間潜む生存戦略を獲得したために,長期間の治療を必要とする難治性の感染症である。結核菌が潜む肺胞は体の外部であるが,そこに到達するには限られた大きさの粒子である必要がある。その特徴を生かした微粒子を設計し,抗結核薬としてリファンピシンを含む生分解性PLGA微粒子製剤を作製した。本微粒子は肺胞マクロファージに貪食される事で,特異的に感染細胞にリファンピシンを輸送出来るようにデザインした。貪食されやすい粒径,組成を選択することで,溶液の20倍のリファンピシンを輸送することが出来た。結核菌感染ラットにRFP-PLGA微粒子を投与したところ,薬剤が肺胞に到達できれば,抗結核効果が得られることが推測された。本微粒子製剤が肺胞に行き届く装置を開発出来れば,結核菌を感染細胞に貪食で取り込ませて治療効果を誘導できるDDSになると考えられる。