カビが産生する有毒代謝産物は,カビ毒(マイコトキシン)と呼ばれ,その中には,毒性が強く,幅広い食品を汚染しているものがあり,食品衛生上大きな問題となっている。主要なカビ毒であるアフラトキシン,パツリン,オクラトキシン,トリコテセン系カビ毒,ゼアラレノン,フモニシンには,それぞれ特徴的な毒性,汚染食品,産生菌とカビ毒産生に適した条件がある。
カビ毒産生能試験や食品中のカビ毒検査を行い,正しい結果を得るためには,注意すべき点がある。分析対象のカビ毒の化学的性質,安定性等を知っておくこと,分析法の原理,精度,感度を把握して目的に合った分析法を選択すること,確認試験を行うこと等である。その手助けとなるよう,カビ毒分析によく使用される分析法について,原理,操作の流れと注意点等について解説した。