日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.43,No.11 (2015)

表題:
点眼剤と防腐剤
著者:
綾木雅彦(慶應義塾大学医学部眼科),岩澤篤郎(東京工業大学大学院生命理工学研究科)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.43,No.11,pp.527−532(2015)

点眼剤に添加される防腐剤は感染予防ならびに主剤の補助的役割がある一方で,眼毒性も無視することはできない。われわれは培養角膜細胞と結膜細胞を使用し,多数の点眼剤に対し濃度と暴露時間を変化させて毒性試験を行い,正確な細胞毒性を示す新しい指標Cell Viability Scoreを考案し,発表してきた。点眼剤の眼表面毒性は塩化ベンザルコニウム濃度,ポリソルベートの有無,主剤に依存する。現在多数の患者が長期間使用する点眼剤は緑内障点眼剤であり,その中でもラタノプロストには塩化ベンザルコニウムへの保護作用があり,他のプロスタグランジン製剤でも同様の作用があると考えられる。プロスタグランジン製剤と合剤の開発により患者が暴露する塩化ベンザルコニウム量は減少している。しかし,患者の増加とともに後発品も増えており,それらには詳細な成分表示がなく臨床試験もされてないため,使用に際しては十分な注意が必要である。

Key words:
Preservatives(防腐剤)/Eye drops(点眼剤)/Cytotoxicity(細胞毒性)/Benzalkonium chloride(塩化ベンザルコニウム)/Cell Viability Score.