近年,だれもが感染症に対する関心を持つようになり,衛生的な環境を得るために浮遊微生物除去性能を謳う空気清浄機などのニーズが高まった。これら製品が有する微生物の除去性能を適切に比較できる方法として,日本電機工業会(JEMA)により,「空気清浄機の浮遊ウイルス除去性能評価」が2011年に制定された。室内環境を想定した20~32m3の試験チャンバーに試験ウイルスとして,病原性のない大腸菌ファージを浮遊させ,試験品を稼働させた条件と自然減衰(コントロール)の浮遊ウイルス数の減衰を比較する評価法である。また,室内環境学会においては,「家庭用空気清浄機によるカビ胞子除去性能の評価試験法」が制定されている。これらの標準的な評価方法の具体的な装置や手順の紹介を含めて,空中浮遊微生物の除去性能評価の現状について,解説する。