高温条件下で次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)水溶液中でのカーボンブラック(CB)充填エチレンプロピレンゴム(EPDM)の劣化をpH 10~13の範囲で研究した。EPDM試験片をpH 10のNaOCl水溶液に浸漬した結果,NaOCl水溶液はCB粒子と有機炭素成分により黒濁した。さらに,NaOCl水溶液のpHと遊離有効塩素濃度は著しく減少した。これは,次亜塩素酸イオン(OCl−)の酸化作用に起因していた。これらの変化は,pHを13まで増加させると極端に小さくなった。pH 10と11では,EPDM内部へのClとOの拡散が見られたが,pH 12以上ではこれらの元素の大きな拡散は起こらなかった。pH 10~12で浸漬したEPDMの表面にのみC-Cl基とC-O基が形成され,pH 13では形成されていないことがわかった。以上の結果は,OCl−よるEPDMの劣化が高濃度の水酸化物イオンによって抑制されたことを示した。