日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.44,No.1 (2016)

表題:
アジア・アフリカの感染症動向
Ⅱ.インド・コルカタでの下痢症研究、およびコレラに関する諸種の話題
著者:
篠田純男(岡山大学インド感染症共同研究センター),Asish K. Mukhopadhyay(National Institute of Cholera and Enteric Disease, India)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.44,No.1,pp.9−18(2016)

アジア・アフリカの感染症動向を主題にした解説として,文科省,さらに新たに発足した医療研究開発機構AMEDの支援で行われているアジア・アフリカで感染症研究拠点形成事業J-GRIDを取り上げている。しかし,筆者の滞在している岡山大学インド拠点はインド国立コレラ腸疾患研究所内にあり,下痢症を中心とする研究が主体であるので,ここでは下痢が話題の中心となる。実際に,インドでは下痢が幼児死亡の大きな要因となっており,コレラが払しょくされておらず,それ以上にロタウイルス下痢症が問題となっている。そして,AMEDでも,J-GRIDの4大重点課題としてインフルエンザ,デング熱,薬剤耐性菌,下痢症感染症を挙げており,下痢症がアジア,アフリカの全域で重大な疾患であることは間違いがない。 岡大拠点のあるコルカタは,1883年にRobert Kochがコレラの病原体を分離して,病原細菌学的に確認した歴史的な土地であるが,未だにコレラが土着しており,JICA事業として下痢症制圧プロジェクトが2期10年間続けられたが,それを基盤として岡山大学感染症共同研究センターがインド人研究者と下痢症関連の共同研究を実施している。

Key words:
コレラ/下痢症/インド感染症/JICA/ビブリオ.