強制通風気化システムにおける水溶液含浸繊維フィルタからの遊離有効塩素(FAC)の揮発挙動を,pH 5~10の次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)水溶液を用いて検討した。塩化ナトリウム水溶液を気化式加湿装置に供給したとき,塩素イオンの揮発は見られなかった。FACの揮発量は,非解離型次亜塩素酸(HOCl)の濃度と空気の風量に依存した。湿った木綿ガーゼに付着したStaphylococcus aureusをFAC含有空気に暴露させたとき,生残率は揮発したFAC量に依存して徐々に減少した。FAC濃度10mg/l,pH 5に調整したNaOCl水溶液を供給した気化式加湿装置から排出される空気に5時間暴露させることにより,生残率の対数減少値は3桁に達した。以上の結果は,気化装置で揮発するFACはHOClであり,固体表面上のStaph. aureusに対して穏和な殺菌効果を与えることが示された。