DNAチップを用いた食中毒菌の迅速検査法について紹介する。本検査は,「腸管出血性大腸菌,サルモネラ属菌,黄色ブドウ球菌,腸炎ビブリオの4菌種を対象とし,これらをひとつのプロトコルで一括同時に検出する技術」を利用したものである。対象4菌種をバランス良く増菌できるよう新規に開発した培地を用いて同時増菌培養を行い,その培養液から抽出したDNAを鋳型としてマルチプレックスPCRによる4菌種8領域の多重増幅とDNAチップによる一括検出を行う。この一連の工程は培養工程を含め,2日以内で完了することができる。性能検証において,複数一括同時検査時の検出限界鋳型DNA量が対象菌ごとに20pg以上であったこと,さらに対象菌を発症レベル菌量接種した食品からも検出可能であったことから健康被害が疑われる食品検査用途に極めて有用な方法であることが示唆された。